【実例あり】売却順の判断ミスで節税失敗!自宅の損失と収益物件の利益を同年度に売るべき理由
不動産を複数所有している方にとって、「どの物件を、いつ売るか」は、売却価格だけでなく税金面にも大きく影響する重要な判断です。
特に、収益物件を売って利益が出る一方で、自宅の売却で損失が出る場合、その損失を活用することで税負担を軽減できる可能性があります。
今回は「売れやすい収益物件の売却を優先し、自宅の売却が翌年にずれてしまった」ために、損益通算による節税ができなかった実例をご紹介し、適切な売却順と専門家の重要性について解説します。
実例:売却年度を考慮せず、売れやすい物件を先に売って節税のチャンスを逃す
相談者は2件の不動産売却を検討していました。
不動産会社から「売れやすい収益物件は年内に決めましょう」「自宅は来年にゆっくりと売りましょう」とのアドバイスがあり、その通りに売却を進めました。
1件目:収益物件(駅近・築浅で人気)→ 11月に売却
2件目:自宅(郊外・築古)→ 売れにくいと判断され、翌年へ売却を先送り
結果、収益物件の譲渡益に対し、自宅の損失を当年度で相殺できず、損益通算が適用できなくなってしまったのです。
損益通算とは?譲渡益と譲渡損を相殺する制度
「損益通算」とは、売却益と売却損を同一年内で相殺することで課税対象を減らすことができる制度です。
さらに、損失をその年に使いきれない場合、最大3年間にわたって繰り越せる「繰越控除」もあります。
しかし、これらは売却が同じ年内であることが条件です。年度をまたぐと適用できなくなります。
条件を満たしていれば節税できたはず…
相談者の自宅は、以下のように制度の適用条件を満たしていました。
居住用財産(マイホーム)である
譲渡損が発生し、収益物件の利益と相殺可能な金額
それにもかかわらず、売却のタイミングが翌年にずれたことで、節税のチャンスを失ってしまったのです。
不動産業者のアドバイスには限界がある ― “誰に相談するか”が結果を分ける
このような失敗を防ぐには、誰に相談するかが非常に重要です。
多くの不動産仲介業者は、売買仲介のプロではありますが、税金や相続、財産形成のアドバイスは専門外であることがほとんどです。
通常の提案はたいてい「売れやすい物件を先に」「今が売り時です」という営業的な視点に偏りがちで、節税や所得調整といった税務的な視点が欠けることがあります。
一方、不動産実務に加えて税務・法律・ファイナンスに精通している者なら、以下のような視点でアドバイスできます。
「このタイミングで売れば損益通算が可能です」
「3年以内にこの順序で売れば繰越控除が使えます」
「譲渡損は確定申告で活かせますよ」
これが、税理士はもちろんのこと、国土交通省・不動産流通推進センターが認定する専門資格者である「公認 不動産コンサルティングマスター」だったりするのです。
つまり、不動産業者のアドバイスが「いま高く売れる」なのに対し、公認不動産コンサルティングマスターは「最も有利に残せる」戦略を提案するのです。
節税のために必要だった行動
今回の節税失敗は、次の点を守れば防げた可能性があります。
✅ 両物件を同じ年に売却する
収益物件と自宅を同じ年内に売却・引渡しを完了していれば、損益通算によって税金を大幅に軽減できていたはずです。
✅ 税務の専門家に事前相談する
売却前に税理士や公認不動産コンサルティングマスターに相談していれば、「自宅の売却を年内に急ぐべき」または「自宅が売れにくいと判断できたなら収益物件の売却を急がず来年度に回すべき」といったアドバイスが得られ、失敗を防げたかもしれません。
まとめ|税務の視点を持つ専門家と売却戦略を立てよう
不動産売却では、「どの物件を」「いつ売るか」だけで数十万・数百円単位の税額差が生まれることがあります。
そしてその差は、「誰に相談したか」によって決まることが多いのです。
一般的な仲介業者は、売ることが目的
公認不動産コンサルティングマスターは、資産全体の最適化が目的
節税や資産形成を意識するなら、税務の知見を持つ専門家に早めに相談することをおすすめします。
ご希望があれば、あなたの不動産売却における節税シミュレーションや、売却戦略の個別相談にも対応いたします。お気軽にご相談ください。
※なお、税務の詳細については税理士などの専門家にご相談・ご確認いただく必要があります。
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